泣いていた。
 

やわらかな熱が離れていくのが淋しくて。
 

あたたかな瞳が閉ざされるのが淋しくて。
 

その熱で手を握って。
 

その瞳に私を映して。
 

それだけが、今の気持ち。今の真紅の全部。
 

全部全部、真紅は黎だけになっていた。
 

朝は当たり前のように来た。夜が続くことを願ったのは初めてだ。


遮光カーテンの向こうに見えた朝焼けの色に、絶望の光もあるのだと教えられた。
 

離れることを嫌だと思った人と出逢ったのは、夜だった。
 

逢いたい。逢いたい。
 

でも、あの人が私に架けた願い。人間として、生きる。それも叶えたい。