「真紅ちゃん。今日はちょっと出かけてもいい?」


「うん? いいよ。じゃあ私はあっちから荷物持ってきて、あと海雨んとこに――


「じゃなくて、真紅ちゃんも一緒に」
 

九時前に目を覚ました真紅は、母の提案に瞬いた。
 

昨日は何も持たずに母のところへ来たので、真紅が住んでいたアパートから荷物の移動をしないといけない。


母は用事があるのなら、今日と明日の休日中にそれを済ませて、海雨にも逢いに行こうと思ったのだが――。


「黒ちゃんのところへ呼ばれたの」
 

楽しそうな母に、真紅は瞬きを返した。