美咲は流産をしてから笑わなくなった。


2人の子供が失われてしまったことは本当に残念だったけれど、子供よりも美咲の方が大切だった。


子供を産むことに不安を感じていた美咲。


産んでしまうと自分の命が危うかったかもしれない美咲。


ボクは不謹慎だと知りながら、安堵している所もあったんだ。


美咲の命は助かった。


それだけで、もうなにも望むことなんてなかった。


子供は無理に作らなくてもいい。


将来的に養子をとってもいいかもしれない。


ボクは隣に美咲がいてくれるだけで、それだけで幸せなんだから。


「この前はごめんね。肩の皮がはがれちゃったね」


ボクはそう言いながら、美咲の肩に包帯を巻いた。