『 恋 』って女の子なら一度は憧れるものだと思う。
ドラマやマンガのヒロインは、いつだってキラキラしてた。
でもそれは『 憧れ 』で、自分には『 関係ない世界 』。
…☆…*…☆…*…☆…*…☆…*…☆…
あれは小5の春だった。
一学期の始業式の朝の校庭。
なこ(夢咲なこ)たち新5年生は旧クラスごとに整列して先生を待っていた。
『待っていた』と言っても、先生のいない校庭はほとんど無法地帯と化していた。
「暇だなぁ~。」
呟いたのとほぼ同時に、なこの背中に衝撃が走る。
「なーこ!!おはよっ!」
「ゆかり…。おはよう。」
なこは顔をしかめながら振り返る。
ゆかりこと(花村紫)はなこの幼馴染みで、小1~小4までずっと同じクラスだった。
「なこ、顔怖いよ?」
「誰のせいだ?」
二人はしかめっ面でしばらくにらみ合い、同時に吹き出した。
「あ、そーいえば昨日のドラマ見た!?」
しばらく笑ってから、なこが口を開く。
「見た見た!!すんごいドキドキした!!」
ゆかりが顔を輝かせながらこたえる。
二人が話しているのは、最近話題の恋愛ドラマのことだ。
「私あのとき、あなたの事が、王子さまみたいに見えたの。」
ゆかりが身ぶり手振り、昨日のドラマの再現をする。
今の台詞はヒロインが好きな相手に告白するシーンだ。
そして、次の台詞はたしか…
「僕はそんなたいした人間じゃないよ。…だっけ?」
「「!?」」
背後から急に台詞がとんでくる。
これで驚かない人はいない、二人は本気でそう思った。
「もー、ビックリしたじゃんか!!」
「そーだよ、悠(ゆう)!」
「え、あー、そー?」
悠(速水悠)は意地悪く笑う。
悠も二人の幼馴染みの一人である。
「てか悠、なんで恋愛ドラマの台詞しってんだし」
ゆかりは悠にからかうような目を向ける。
「ね、ねーちゃんが見てたのがたまたま耳に入ってきたんだよ!!」
悠は顔を真っ赤にして、慌てて弁解する。
「シースコーン!!!」
そんな悠が面白かったようで、ゆかりはなおも続ける。
「はぁ!?そんなんじゃねーし!!」
「いーや、あるね!!!」
(はぁ。)
この手の会話を幼い頃から聞いてきたなこは、今更止めようとはしない。
(こーゆー時はほっとくのが一番なんだよね。)
(!?)
何気なく校庭を見回していたなこの目線が、ブランコの前に立つ一人の男の子に止まる。
(誰だろ、あの子。何年生かな…?)
はじめは見覚えのない顔に驚いたものの、
見覚えのない顔→他学年or転入生。
でも今ブランコ付近に集まってるのは5年だけ。
つまりあの子は転入生。
といった様に、すぐにいつもの冷静さを取り戻し結論にいたった。
なこがそんなことを考えている間に、男の子は姿を消していた。
ドラマやマンガのヒロインは、いつだってキラキラしてた。
でもそれは『 憧れ 』で、自分には『 関係ない世界 』。
…☆…*…☆…*…☆…*…☆…*…☆…
あれは小5の春だった。
一学期の始業式の朝の校庭。
なこ(夢咲なこ)たち新5年生は旧クラスごとに整列して先生を待っていた。
『待っていた』と言っても、先生のいない校庭はほとんど無法地帯と化していた。
「暇だなぁ~。」
呟いたのとほぼ同時に、なこの背中に衝撃が走る。
「なーこ!!おはよっ!」
「ゆかり…。おはよう。」
なこは顔をしかめながら振り返る。
ゆかりこと(花村紫)はなこの幼馴染みで、小1~小4までずっと同じクラスだった。
「なこ、顔怖いよ?」
「誰のせいだ?」
二人はしかめっ面でしばらくにらみ合い、同時に吹き出した。
「あ、そーいえば昨日のドラマ見た!?」
しばらく笑ってから、なこが口を開く。
「見た見た!!すんごいドキドキした!!」
ゆかりが顔を輝かせながらこたえる。
二人が話しているのは、最近話題の恋愛ドラマのことだ。
「私あのとき、あなたの事が、王子さまみたいに見えたの。」
ゆかりが身ぶり手振り、昨日のドラマの再現をする。
今の台詞はヒロインが好きな相手に告白するシーンだ。
そして、次の台詞はたしか…
「僕はそんなたいした人間じゃないよ。…だっけ?」
「「!?」」
背後から急に台詞がとんでくる。
これで驚かない人はいない、二人は本気でそう思った。
「もー、ビックリしたじゃんか!!」
「そーだよ、悠(ゆう)!」
「え、あー、そー?」
悠(速水悠)は意地悪く笑う。
悠も二人の幼馴染みの一人である。
「てか悠、なんで恋愛ドラマの台詞しってんだし」
ゆかりは悠にからかうような目を向ける。
「ね、ねーちゃんが見てたのがたまたま耳に入ってきたんだよ!!」
悠は顔を真っ赤にして、慌てて弁解する。
「シースコーン!!!」
そんな悠が面白かったようで、ゆかりはなおも続ける。
「はぁ!?そんなんじゃねーし!!」
「いーや、あるね!!!」
(はぁ。)
この手の会話を幼い頃から聞いてきたなこは、今更止めようとはしない。
(こーゆー時はほっとくのが一番なんだよね。)
(!?)
何気なく校庭を見回していたなこの目線が、ブランコの前に立つ一人の男の子に止まる。
(誰だろ、あの子。何年生かな…?)
はじめは見覚えのない顔に驚いたものの、
見覚えのない顔→他学年or転入生。
でも今ブランコ付近に集まってるのは5年だけ。
つまりあの子は転入生。
といった様に、すぐにいつもの冷静さを取り戻し結論にいたった。
なこがそんなことを考えている間に、男の子は姿を消していた。