高瀬川を上がると河原町御池である。

その手前の、五条あたりの寺が並ぶ界隈で岸島は、洋装の男が寺の僧に箒で追い回されているのを見た。

間に岸島は立った。

「待たれい!」

「どけ!」

僧は箒を振り上げた。

岸島は腰にたばさんでいた八寸の扇に手をあてがうと居合よろしく構え、

「…!」

僧を一撃で倒した。

「これでは僧ではない」

岸島は扇を腰に戻した。