「おっ、莉彩ちゃんだ!久しぶり~!」


「何だよ、また来たのか」


屋上に辿り着くと、温度差を感じる二人の言葉が飛んでくる。


屈託のない笑顔で歓迎する神楽くんと、鬱陶しそうに眉をしかめる壱夜くん。


何とも対照的だ。


「ったく、素直じゃねぇな…壱夜は。さっきまで、屋上のドアの方をチラチラと見て気にしてたくせに。今日あたり、莉彩ちゃんが来るんじゃないかって、期待して待ってたんだろ?」


「えっ、そっ…そうなの?」


「違ぇよ、バカ。賑やかなヤツが来るかもと思って憂鬱になってただけだ。桃舞の発言、真に受けんな」


なんだ、ぬか喜びか…。


まあ…そんな夢のような展開、有るわけないよね。


自嘲気味に笑ってしまった。


「莉彩ちゃん、今日は来るの少し遅めだね。先週、俺が屋上に来てた日は、昼休みになって直ぐに来た印象があるんだけど…」


「国語準備室にクラスの課題ノートを運んでたの。日直だから、先生に頼まれて…」


「そっか~、お疲れさま!」


ねぎらってくれる神楽くんの隣で、無言でスマホをいじり始める壱夜くん。


私たちの会話に全く関心が無さそうだ。