バレンタインから、一週間以上が経過した。


今のところ、紅月くんが私に近付いてくることもないし、私自身も接近しないように気を付けている。


平穏な日々が続いているけど、その中には、いくつか変化があって…。


まずは…




「碧瀬、昼メシ行くぞ」


和やかな教室内の空気が、一瞬にして凍りつく。


みんなが怯えたような視線を向ける入り口のところに立っているのは、壱夜くん。


あの紅月くんの一件を境に、お昼ご飯を一緒に食べる日は、私の教室まで迎えに来てくれるようになったのだ。


なるべく一人にならない方がいい…という壱夜くんの優しい心遣いに、いつも胸が温かくなる。 


「うん、今…行くね!」


お弁当を持って慌てて廊下に出ると、そこには壱夜くんだけじゃなく、神楽くんの姿も。


「莉彩ちゃん、お疲れ~!」


実は、壱夜くんからバレンタインの日の出来事を聞いたらしくて、私のことを凄く心配してくれてるんだ…。