「あのさ……みどりちゃん」





遅刻ギリギリでオフィスに滑り込んだあたしを、じろじろと舞さんが見ている。

その視線を避けるように、あたしは俯いた。





「見ないふりをするのがいいんだろうけど、気になるから聞いていい?」



そう言う舞さんに、



「はい」



弱々しく頷いた。





舞さんが聞きたいこと、それはなんとなく分かっている。

あたしは戸崎と一夜を過ごし、寝坊して慌てて出社した。

髪はボサボサだし、化粧はテキトーだし、昨日と同じ服。

突っ込みどころ満載だ。





そして、



「みどりちゃん!彼氏と上手くいったんだ!」



舞さんはやっぱりそうきた。