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幼馴染のお兄ちゃん、私は彼の許嫁

第2章 私の気持ち
1節 お兄ちゃん


「お嬢様。志藤様がお見えです」

「はい」

風見さんと高橋さん、あの2人とお昼を一緒に食べた日からもう数ヶ月が経って、もうすぐ8月。

2人とは、あれからよく話すようになった。

学内でも、一緒に移動することも多くなって、2人のおかげで男の子のお友達も増えた。

「おまたせ、真一さん」

リビングでは、真一さんがスーツ姿でソファーに腰を下ろしていた。

もう、見慣れてしまった光景。

真一さんが、社会人として働くようになって、毎日とはいかないけど、真一さんは週に何度か、都合のつく日に家に来て、私の大学での話を聞きにくる。

「今日も?」

「もちろん。凜子ちゃんの話を聞くために来てるんだから」

真一さんは、いつもそう言う。

お仕事で疲れているんだから、早く帰れた日は自宅に戻って休めばいいのに。

「私の話を聞いて、楽しい?」

「楽しいよ? 何より、凜子ちゃんの顔が見れて、凜子ちゃんの声が聴ける。それだけで僕は嬉しいよ」

真一さんは、笑って見せる。

でも、その言葉はどこか嘘っぽく聞こえてしまって。

真一さんは、私の話を黙って聞くだけで、何も言ってくれないんだもん。

「不満そう」

ぐい、と手を引かれ、私は真一さんの膝の上に収まる。

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