ケータイ小説 野いちご

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彼女と五月とサングラス

終章


僕は、山道を車で走っていた。


コンビニが有りその駐車場に車で入ると缶コーヒーを買った。


長いドライブの為に腰を伸ばしながら駐車場の側の山を見た。


またもや五月がやって来たなと心の中で呟いた。


缶コーヒーを飲むと煙草を吸いながら新緑を見ていた。


サングラスを外してクレアの事を思った。


彼女は、突然の病で入院してしばらくして亡くなった。


もう数年も前の事だった。


彼女は、意識の有る限りは僕にメールを送って来た。



僕は、どういう時でもなるべくメールを返したがある時からぱったりメールが来なくなった。


本格的な闘病生活に入ったのだと思ったが、いつかメールか連絡が有るだろうと思っていた。


クレアが最後に送ってきたメールには、綺麗な長い髪を入院生活の為にバッサリ切って素っぴんで写った写メと早くに亡くなった美しい母親の写メだった。


メールで会いたいと行ってきたが僕は、結婚してるクレアに会いに行かなかった。




数ヵ月経って知らない女性から電話が掛かって来た。




クレアが亡くなった事とお世話になった事を言われた。


僕は、予測していたとはいえ余りに突然の死に涙も出なかったがお世話になったのは僕の方ですと何とか答えた。


その女性は彼女の従姉妹で彼女に憧れていたと話した。



クレアが歳上の人を好きになるのは頭が良いし若い人では彼女を時に扱いきれないんだとも言った。



一瞬彼女の切実とも言える舌の動きを思い出した。


まるで二人で会話をしてるようなキスを思い出した。



僕は、缶コーヒーを飲み干すと煙草をその中で消した。


煙はいいねと言ったクレアの言葉を思い出した。


しばらくサングラスを外していたが、思い切りそれを山に向かって投げようと腕を上げてギリギリでやめた。


僕は、サングラスを掛けると車に乗った。


クレアお前が居ないと俺はサングラス無しだと辛いよと独り言を絞り出すように言った。


車を駐車から出すと山道をかなりのスピードで走った。


CDをチャックベリーにすると大きな音で鳴らした。


時々道路が滲んで見えた。













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