「美月!!どこに行ってたの!!!」


家に帰ると、待ち構えていたお母さんが血相を変えて飛んできた。


「……ん、ちょっと退屈したから……そ、外に遊びに……」


しどろもどろしたのは、まだ心臓がバクバクしているせいかもしれない。


「もう、美月ったら……寿命が縮まるからやめてちょうだい。とにかく、無事で良かった……」


そう言いながら、冷えた体を優しくさすってくれる。


お母さんだけは、あたしの気持ちをわかってくれる。


極道に嫁いだからって、テレビの極妻みたいに殺気を放っているわけでも、組員たちの前で肩で風切ってるわけでもない。


極道なんて無縁と思えるくらい、どこにでもいそうな平凡な家庭の主婦。