食欲なんてなかった。
夜になって、ご飯が出来たからやっと部屋から出ることを許されたのに、あたしの体は重い。
考えれば考えるほど分からなくて、ベッドに横たえた体を起こす気力もなかった。
黎のこと、沢山知れたのに……。
あたしはまだまだ黎が遠い……。
ーーカチャ。
部屋のドアが開いた。
入ってきたのはお母さんだった。
「勇牙とケンカでもした?」
「……ケンカ?そんなのはじめっから成り立たないでしょ……」
「そうだね」
そう言ってクスッと笑ったお母さんは、あたしにベッドに腰掛けるから。
ぐっ……とあたしの体がベッドに深く沈む。