ケータイ小説 野いちご

春が来たら、桜の花びら降らせてね

❁Chapter2❁
勝利には、乙女の祝福を


【冬菜side】

いかにも初夏らしい澄み渡る空、蝉の大合唱が毎日のように教室の窓から聞こえてくる7月。

天候にも恵まれた、体育祭の日がやってきた。

「…………」

「あれぇ、冬菜ちゃんなんか顔暗くない??」

教室で開会式までの時間を潰していると、琴子ちゃんがついついと人差し指で頬を突いてくる。

あれから、少しずつだけど、琴子ちゃんと誠君にも緊張しないようになった。

夏樹君と話せるようになってから、話したいという気持ちが強くなった私は、積極的にカウンセリングにも参加した。

だからといって、ふたりとはまだ話せたわけじゃないけれど、少しずつその成果が出たのだと信じたい。

今、話せるのは唯一夏樹君だけ。
しかも、他人の目がない場所で、ふたりっきりじゃないと喋れないという制約付きだ。


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