ケータイ小説 野いちご

春が来たら、桜の花びら降らせてね

❁Chapter1❁
心染みる、チョコレート


【冬菜side】

【恋はわがままに燃え、想いを押し付ける一方的で熱い太陽のような感情である。】

【愛は無条件に思いやり、深い慈悲をもって静かに包みこむ、月のような感情である。】

本の一節に、私はひどく心を揺さぶられた。
人が誰しも一度は考える、恋と愛の違い

それを太陽と月に例えるなんて、ロマンチックで胸にぐっと来るものがある。

綺麗な言葉、表現は好きだ。
それだけで、心が洗われるようで、私に夢を見せてくれるから。

じんわりと染みるように広がる、感動の波の余韻に浸っている時だった。

「はよ、冬菜!」

「…………」

……最悪だ。

柔らかく屈折する日光に照らされて、静かに読書をしていた私の前に現れた、公害。

入学式から一週間が経った。
あの日から、私の変わり映えのない日々がある男によって妨害されている。


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