週が明け月曜日はお馴染みのギュウギュウ詰めの通勤電車


相変わらず近い橘の距離と鼻をくすぐる橘の匂い



「なぁさつき、土曜日俺待ってたんだけど…」


突然待っていたと言い出した橘に「え?何が?」と返す



本当はわかってた



「吉野さんの料理」



毎回女子会の度に持ち帰る料理を1人で食べるにも多いので橘の家に寄りお裾分けしていたけど、土曜日はなんだか橘が話題に出てきた気まづさもあり橘の家には寄らずに帰宅した


今回は橘に女子会をする話はしてないから、大也から聞いたのね


家に帰ってからも橘が近くても不快じゃない理由をずっと考えていた


「ねぇ、橘」


でも答えなんて出てこない



「パーソナルスペースって知ってる?」


橘の話はスルーして、私のパーソナルスペースに入り込んでいる旨を伝えようと思う



「知ってるよ」



耳元で喋られると耳にかかる息がくすぐったい



「さつきのパーソナルスペースが他の人より広いことも、俺がさつきのパーソナルスペースに入れることも知ってる」



そう言って、空いていたわずかな距離をも詰められる


橘の体が完全にくっついて私達の間の空間はなくなり、あるのはお互いの服のみ