ケータイ小説 野いちご

MEMORIZE BLUE

生まれた傷

「叶えたい未来、希望、夢に向かって踏み出す一歩」

「うわぁー……ありがち」
むしろテンプレートすぎる、と小夜も青ざめた。

「何を作っているのか分からなくなりそう」
求められるものか、伝えたい言葉か。

「見失っちゃいけないものほど、言葉に出来ないんだよね」

「そうだね…」
葵の何気ない言葉の中に重い響きを感じ取った小夜は、相槌を打つとしばらく黙り込んだ。

「葵は、どんなものを創りたいの?」

唐突な質問に、思わず声が止まる。

「…分からない」
そうとしか言えない自分が情けなかった。

自分のことさえ分からないのに、よくもクラスをまとめて歌詞など作れると思ったのか。

自嘲した葵は、大きく伸びをした。

「まだ夏になったばかりだし、時間はたっぷりあるからゆっくり考えるよ」

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