鼓動の音が聞こえる。
人知れず深呼吸した葵は、ようやく自分が緊張しているということに思い至った。
一週間に一度の学級会議。
今回は、合唱コンの係決めが議題なのだ。
(手、震える…)
心なしか青白い手のひらを見つめるが、この腕を上げて立候補する自分を思い描けなかった。
怖いんだ。私。
地味な女子がいきなり大役に立候補して注目を浴びるのも、陰口を言われるかもというのも、そもそも務まるのかということにも。
どれにも怯えて、自信が無い。
当たり前だ。自信のつくほどの努力をしてこなかったからだ。
(結局は自分の撒いた種なのに、言い訳なんかしたくない)
息を吸い込んだ葵は、委員長が口を開いた瞬間手を挙げた。
「…辰音さん、立候補ですか?」
「は、はい」
「まだ何も言っていなかったんですが」
苦笑する委員長に、一気に顔が紅潮するのを感じた。
人知れず深呼吸した葵は、ようやく自分が緊張しているということに思い至った。
一週間に一度の学級会議。
今回は、合唱コンの係決めが議題なのだ。
(手、震える…)
心なしか青白い手のひらを見つめるが、この腕を上げて立候補する自分を思い描けなかった。
怖いんだ。私。
地味な女子がいきなり大役に立候補して注目を浴びるのも、陰口を言われるかもというのも、そもそも務まるのかということにも。
どれにも怯えて、自信が無い。
当たり前だ。自信のつくほどの努力をしてこなかったからだ。
(結局は自分の撒いた種なのに、言い訳なんかしたくない)
息を吸い込んだ葵は、委員長が口を開いた瞬間手を挙げた。
「…辰音さん、立候補ですか?」
「は、はい」
「まだ何も言っていなかったんですが」
苦笑する委員長に、一気に顔が紅潮するのを感じた。