亡くなってから3年。
私は脱け殻の様に季節を過ごしていった。

3年経過しても変わらない。
蓮との思い出の世界だけに浸っている。

ただ、精一杯生きると言う約束だけ守って。


そして、私の実家はお寺。


私は小さい頃から華道をしていたから花を生けるのは得意。



月に1度、同じ宗派のお寺で花を生けている。




ここの住職も住職の奥さんも私を普通に扱ってくれる。



「未亡人で可愛そうな人」とではなく、「藤本瑞紀」として。


身内でさえ、「未亡人で可愛そうな人」として扱って来るのにここだけは個を大切にしてくれる。



だからかな。



月に1度来れるの。



私は「未亡人で可愛そうな人間」ではない。
蓮との思い出の中に生きているから。