あの事件から一週間が経った。
 
俺はミリィたちに内緒でレオンハルトが入院している病院へと向かっていた。

「相変わらずでかい病院だな……」
 
目の前には十階建ての病院がそびえ立っている。ここは最近新しく出来た病院らしく、警察の奴らもよくお世話になっているらしい。

「こんな良いところに入院してやがるのか」
 
少し羨ましいと思いながら病院の中へと入り、ミリィから聞いた病室へと向かう。

「え〜と……確か十階だったよな?」
 
一番見晴らしの良い最上階に居るとか本当に羨ましいな。病室から眺める外の景色はさぞ絶景だろうな。
 
そんなことを考えながらレオンハルトの居る病室を探す。

「あ、ここだ」
 
扉の隣には【レオンハルト】と書かれた名札があり、その下には【個室】と書かれていた。それを見た俺は思わず顔を引きつらせた。

「これが魔法警察の財力の力かよ」
 
金を使うところ間違っているだろ。そう思いながら俺は渋々扉をノックする。

「誰だ?」
 
中からレオンハルトの声が聞こえ、俺は返事をする前に部屋の扉を横に引いて中へと入る。

「ブラッド……だ」
 
病室の中に入った俺は、部屋の中の景色を見て更に顔を引きつらせた。

「な、何だよ、これ?」
 
病室だと言うのに部屋の真ん中には、ガラステーブルとソファが置かれている。壁には最新型の薄型テレビが備え付けられていて、部屋には暖房も効いている。

「ここほんとに病室か?」

「病室だけど?」
 
【これが普通だ】とでも言うように、レオンハルトは呑気に本を読みながらそう言ってきた。