地下へと続く階段を下り終えた俺たちは、奥の部屋へと続く扉の前へとやって来た。

「……オフィーリア」
 
俺は拳に力を込める。
 
両親と大切な妹を奪われ、あいつはオフィーリアまでも奪おうとしている。そしてオフィーリアの命の源でもある星の涙を使って、罪のない大勢の人たちを殺そうとしている。
 
そんなの絶対に許すわけにいかない。
 
目の前の扉に手を当てゆっくりと奥へと押し部屋の中へと足を踏み込んだ。
 
そして──

「やあ、よく来ましたね」

前方から声が聞こえ俺たちはそこへ視線を送る。
 
すると祭壇の上にアルファが腕を組んで立っていたのだ。

「アルファ……」

「あの日以来ですね、ブラッドさん」
 
俺はアルファを睨みつける。

「あの時はさすがに死を覚悟しましたよ。でもベータが上手く助け出してくれたので、こうして生きているんですけどね」

「あのまま死んでいれば良かったのにな」

「酷い言い方ですね。せっかくこうして会えたんですから、涙でも浮かべて喜んでくれても良いのに」
 
アルファはそう言いながら祭壇から下りると、俺たちに向かって歩いて来る。

「でも君たちがここへ来たのは意味がなかった」

「っ! どういう意味だ! まさか……オフィーリアを!!」
 
前に出かかった俺を見たレオンハルトは慌てて手首を掴んできた。

「落ち着けブラッド!」

「くっ……」
 
落ち着けだって?! そんなの無理に決まっている! オフィーリアの無事な姿を確認出来るまで、落ち着くことなんて出来ない!

「ところで君は誰ですか?」
 
レオンハルトは俺から手を離すと一歩前に出て名乗った。

「魔法警察魔道捜査一課のレオンハルトだ」

「魔法警察……魔道捜査一課……。ふっ、僕たちの情報を盗み出した、魔法教会の犬どもですか」
 
【魔法教会の犬ども】と言う言葉が引っ掛かったのか、レオンハルトは目を細めるとアルファに言い返す。