屋敷へと着いた俺はとりあえず、意識を失っている超絶美少女――いや彼女を自室へと運んだ。

「とりあえずこの服は取った方が良いよね?」

「そうだな」
 
彼女が羽織っている薄汚れたフードを掴んだ時、その手をミリィに叩かれた。

「な、なんだよ?」

「何かされる前に一応言っとくけど、この子がブラッド好みの子だからって手は出さないでよね」

「わ、分かってるさ!」
 
ミリィに言われるまでもない。

確かにこの子は俺好みの子だが、意識を失って素性も分からない女の子に手を出すだなんて、紳士として在るまじき行いだ。
 
ミリィに着替えを頼んだ俺は、さっき回収した首から下げられていたネックレスと、彼女が使っていた魔剣を交互に見下ろした。
 
まず始めに彼女が首から下げていたネックレスを手に取ってみる。

「魔力は感じないか……」
 
この宝石の輝きからして、普通の宝石とは何かが違うのかと読んでいたのだが、この宝石が俺の魔法を跳ね返したのは関係ないみたいだな。
 
そう解釈した俺は机の上にネックレスを置き、次に一番気になっている魔剣を手に取ってみた。

「……やっぱり何の反応も示さないか」
 
微かだが魔力だけは感じる。やっぱり主じゃないとその力を表に出す気はなさそうだ。

「光の盾を貫く魔剣……か」
 
何でも貫通させたり何でも斬ることが出来る魔剣なのか。

それとも光魔法に関係している魔剣なのか。

主を守るためにこの魔剣が俺の魔法を跳ね返したって可能性もある。何にせよ少し調べてみたいところだ。