「確かこの辺りのはずだよな?」
 
事前に調べておいたメモを見ながら、あちこちに目を向ける。

「それにしてもこの辺りは活気があるよな」
 
ルークス一部の街ではあるが、この辺りは都市の中でも工業が発展している街だ。そのせいもあってか人がたくさん行き交っている。

「お、あったあった」
 
俺は目的地である女神の涙の宝石店を見つけた。一見普通の宝石店にしか見えない。だが必ず裏があるはずだ。

俺は軽く服装と髪を整えて店の中へと入る。

「いらっしゃいませ」
 
店の中は男女のカップルや着飾った御婦人たちがいた。やっぱり表向き普通の宝石店ようだ。
 
そう思いながらあちこちに目を向けていると。

「これはこれは、いらっしゃいませお客様」

「ん?」
 
突然見知らぬ男に声を掛けられ体に緊張が走った。

「誰だ?」

「これは申し遅れました。私はこの女神の涙でオーナーをやっています、【レギオ】と申します」

「は、はあ……」
 
こいつがレギオ? もっと威厳ついた人物を想像していたが、どこにでも居るような優しい表情を浮かべたおじいさんだな。

「初めましてレギオさん。俺はブラッドと言います」

「はい、初めまして。今日はどういった物をお探しで?」

「いや、今日はちょっと見に来ただけなんです。ここの店は良い宝石が揃っていると聞いたもので」

「それはそれは、わざわざありがとうございます」
 
レギオは深々と頭を下げる。
 
う〜ん……どうにも悪い人には見えないんだけど。

「でしたら是非、来ていただきたい事が」

「何ですか?」
 
レギオは持っていた紙束から一枚紙を取り出すと俺に差し出す。