誰もいないから。 私だけだから。 私は、チョークを持っているだけなのに、ドキドキと心臓を速く鳴らせながら、チョークを持った手を持ち上げる。 そして、線を引きながら心地よい音を出すチョークに耳をすませながら、ずっと心にある2文字を外に出してみる。 ス キ 「フフッ」 先生にはきっと何十回と言った言葉だけど、改めて黒板に文字で書くと、一層好きだって実感が増す。