「それって崇さんの仕事ですよね。なんで私が?」


崇さんは料理を作る対価としてお給料をもらうのに、私が手伝うのはおかしくないだろうか。


「茜は高校を卒業したら、大学に行くのか就職をするのか知らないけど、家を出るかもしれないだろ。料理はオレの仕事で、茜に手伝わすのも変な話だが、少しは家事を覚えた方がいいんじゃないか」


「う、それは――」


言い返せない。


紅茶すら淹れられない自分に危機感を抱いたところだ。


未来がどうなるのかわからないけど、

もしも一人暮らしを始めたら、私の稼ぎでは家政婦なんて雇えない。


このままこの家で、お父さんの世話になり続けるか、自分で少しは家事をするか、どちらかだ。


料理を覚えなくてはいけない。