いつもなら早足で通り過ぎる道を、真衣と一緒にゆっくりと進む。


真衣は話し出したら止まらないので、景色を意識せずにいられて、ちょうどいい。


駅からいつもより時間がかかり、およそ15分ほどで見慣れた赤い屋根が見えてくる。


赤い屋根に、壁の上半分がクリーム色、下半分がレンガ調の一軒家が我が家だ。


とても可愛らしい外観の家で、亡くなったお母さんの趣味だと聞いた。


今では手のかからない緑しか植えられていない花壇に、昔は色とりどりの花を植えていたそうだ。


そういったことは全て鈴木のおじさんやおばさんに教わった。