「バカだねえ、アンタも」


今どきキセルの煙を吹かせながら正美が2階で。


個性的なファッションで、やたら似合う。


泣き腫らした顔で項垂れる私。


「ううう…」


「わかった、わかったから」


とんとん、と灰皿に燃えた葉っぱを落とすと、


「すぐわかったよ。あの子のこと好きなんでしょ?」


「…すきじゃない、そんなんじゃない…」


「説得力ないっつうの」


ぽん、と一冊の冊子を差し出す。


「どっかで見た顔だと思ったら、ファッションモデルやってたんだね。しかも取引先の三男坊」


「えっ?」


出されたフリーペーパーを手に取る。


小さいながら写真つきで身分を隠して、個人で起業して自分がモデルになって、ファッションやら雑貨を作ってはネットで販売していると書いてある。


去年の春に某有名大学を卒業。
その前から学業の傍らサークルでちまちまと物作りをしていたらしい。