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翌朝。

我が家の食卓は、いつもと違う、重い雰囲気に包まれていた。

いつもと同じ味がするはずの味噌汁は、お湯の味しかしない。


こうなってしまった原因は、つい二時間前のこと。


「吾妻(アヅマ)さん!吾妻さん!」


誰かが私の家の扉を強く叩く音で、私達家族は目を覚ました。


「どうしたんですか、大山さん……」


まだ眠そうな顔をして、お母さんが出た。

そこには、目をこぼれんばかりに見開いている大山のおばちゃんがいた。

そんな大山さんの口から出た言葉に、皆が驚いた。

そして、それが私達の空気を変えた大きな原因である。


彼女は、こう言ったのだ。


「小枝さんのとこの娘さんが、血まみれの遺体で発見されたんですって!」