真夜中に響く鈍い音




そこには倒れる男たちと月光を浴びる少女がいた。

色素のない白髪をなびかせ異質な瞳は何も映さない



「............」


少女は無表情で、ただ相手を殴りつづける


「っガキ、 て、めえ 、なにもんだ」


男は悲鳴をあげる体を無視して少女を睨む


「...............」


少女はなにもしゃべらない。まるで聴こえていないかのように


「ははっ...だんまりかよ....」


男はそういって気を失った


少女はそれでも殴る。


「..............」


どれ程、殴り続けたのか手が赤黒くなった頃、少女は殴る手を止め顔を上げた

その瞳の先には少女とよく似た少年と少女がいた










この世界は汚い


表向きは綺麗でも裏には薬や銃が流れてる

そんな裏社会をまとめているのは組や族。

それでも悪人というのはどこにでもいるもので







「........」





名取 凪


それが少女の名前


少女はなによりも愛する二人のために自分を切り捨てた


全てはアイツが原因


アイツの顔が頭から離れない


ーもう少女の瞳は光を映していないのにー


アイツの声が聞こえる


ーもう少女の耳は愛する二人の声も聞こえないのにー


あの男を殺すこと


それは少女のアイデンティティー


今ここに<盲目の蝶>が誕生した。