「兄貴、朱里さん、料理が冷める。」



近付いてくる陽輝の声に私達は視線を向けた。沈黙の尚輝が立ち上がる。



「朱里、行こう。」


「うん。」



尚輝に促され、私達は店内に戻っていく。その間も会話はない。


席に座れば、全員の料理が運ばれていた。



「お待たせしました。」



一言声を掛けて腰掛ける。チラリと尚輝の料理を見れば、ボリュームたっぷりの料理だ。



「尚輝、これを食べるの?」


「…………ああ。」



明らかに後悔しているようだが、皆で料理を食べ始めた。


賢人と真央は相変わらず仲良しだ。


喧嘩なんてしないのか?


私と尚輝は言いたい事を言い合うタイプだが。



「はい、朱里さん。」



陽輝の声に視線を向ければ、目の前には陽輝のハンバーグが置かれている。



「朱里さんの食べてもいい?」


「あっ、うん。美味しいよ?」


「まだ喧嘩中なんだ。」



サラリと陽輝が言えば、尚輝の雰囲気が一気に怖くなる。