「威音っ!威音っ!わかるっ?!」

目覚めた瞬間見えたのは、号泣する要の顔。

「威音~!なんで私んとこ来ないのよぅ。もうバカバカ。威音を大事にしてない人達の言葉なんて、無視しなさいよ!威音には私がいるでしょっ!」

要…。

『…かなっめっ…ごめっ…。』

「威音、私と新しいマンションに住もう?私は威音と一緒にいたいの。いらなくないのっ!」

私を必要としてくれた…!

泣きながら何度も頷く。

「待って。威音、オレと住もう。消えろなんて言ってごめん。大事にしなくてごめん。キライになったわけじゃない。威音がいるのが当たり前になってて…蔑ろにしてごめん。」

頭を下げて謝る神威。

…なんでかな、心が揺れない。

『もう大丈夫だよ。こんなことになってるから、説得力ないかもだけど、もう私のことは気にしないで。』

同情でいてもらっても、むなしくなるだけ、そう続けると。

「同情じゃないっ!」

『…そう、でも私がこんなことしちゃったから、今は気になるだけよ。責任感じたりしなくていいの。』

「責任じゃない…。ちゃんと威音が好きだよ。」

ウソつき。

信じられない。

「好きな相手に消えろなんて、普通は言わないですよ、藤守さん?中学以前から自立してた、いつのまにか子供じゃなくなってしまってた威音に向かって、自立してなんて言う親も親だし、無関心も罪です。」

神威の隣にいる私の両親に、要はハッキリと言い切った。

何も言わない父と母。

言わないんじゃなくて、言えないのよね。