私は今日、自分の全てを終わらせる。

いてもいなくてもいい私なんて、いなくなった所で誰も悲しまない。

大好きだった海。

両親がまだ仲が良かった頃、夏にはいつも来ていた。

今ではお互い仕事ばかりで、帰ってくるのは3ヶ月に一度会えればいい方。

父親は会社経営、母親は弁護士。

父と母は会社関係以外は、ほとんど会っていないと思う。

その母親が珍しく昨日帰って来た。

そして開口一番に。

「この家、もういらないわよね。あの人もほとんど帰らないわけだし。威音(いお)もマンション用意するから、そっちに引っ越しなさい。」

…唯一、昔の楽しい記憶のある家を出ていけと言われた。

ここにいれば、いつか昔のように戻れると信じていた。

浅はかな夢。

二人は離婚はしない。

きっと、世間体のために。

お互い、別の相手がいることもなんとなく気がついていて。

私はもう早くから捨てられていた事実を、目の当たりにした気がして。

どうしようもないくらい、胸が苦しくなった。