瑠衣side

蘭達は、多分、怒哀の感情をコントロール出来ないところまできている。

だから、こはなちゃんに向けてしまっているんだ。

このままだと、こはなちゃんに負担がかかりすぎる。

今でさえ、解離性障害を起こしかけてるってのに。

「そこまでだよ。蘭達はちょっと頭冷やしてきて。今日はこの子俺が預かるから。もう帰りな。」

こはなちゃんは、顔色が悪く、まだ謝り続けている。

はやく安定剤打たないとヤバイな。

解離性障害を起こされると面倒だ。

「でも、瑠衣にぃ…。」

愛が、不安そうに見つめて来る。

「今は、この子をお前達のいる元へとは返せないよ。そんな呑気な事をできる体と心じゃないのは見ててわかるだろ?」

こはなちゃんをそっと抱っこした。

軽い。軽すぎる。

身長は小さいがそれに伴っていないや軽いさだった。

こはなちゃんは小さい体をさらに小さくして、カタカタと震えてる。

謝り続けている。

「分かった。ほら、渚行くよ!」

渚くんも咄嗟に出てしまった言葉の様で、上手く整理できていないみたいだった。

「ごめんな。こはな。」

蘭くんはその一言を行って一緒に出て
行った。

「よし。こはなちゃん。俺の治療室へ行こうね。大丈夫だからね。よしよし。」

なでなでしながら、俺の治療室へと人通りの少ない廊下を通って行く。

「ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。
ごめんなさい。ごめな…」

こはなちゃんを抱きながら、俺は院内用の携帯電話で心療内科の渡部 穂(わたべ みのる)を呼び出した。

「あ、穂?よかった。出てくれて。そうそう。俺。安定剤の点滴持ってきて。俺の治療室まで。急ぎで。うん。お願い。ありがとう」

穂とは、中学生からの付き合いで、グレていたとも一緒だった。

「こはなちゃん。着いたよ〜。ベットに下ろすからね〜。」

治療室に着いた俺は医療用の手袋をしていると、穂が走ってやってきた。

「ごめん。遅かった?」

穂は、こはなちゃんの状態を見て、スッと医者の顔になった。

「これ。どした?うーんと久しぶりだな。こんな酷い状態の患者を診るのは。」

穂は、やり手の心療内科の医師で、俺は外科専門医だ。

「大丈夫だからね〜。」

安定剤を投与すると、少しずつ息遣いと、あの謝罪も落ち着いてきた。

と思ったら寝てしまっている。