side 蒼



「蒼、着替え終えた?」


「おう!早く行こうぜ」




俺と恋は、たった今撮影を終えたところ。



本当は休んでもよかったんだけど、兄貴が「社長脅して休むんじゃねぇ」と鬼のごとく怒るから仕方なく。




「お二人はこの後ご家族と予定があるんでしたね」



マネージャーの小谷さん(男)が、ニコニコと笑って言う。



小谷さんはいつもほのぼのしてる人で、面倒見がいい。



だけど…。



「みんなどこにいるんだっけ?」


「○△公園でしょ」



あー、そうだった。

ちょうど今桜が満開で綺麗なとこだったわ。




「「小谷さん送ってってー」」


「イ・ヤです。甘えてないでタクシーで行きなさい」




ほのぼのしてるけど、たまにオカンみたいに厳しいんだ。




仕方なく二人でタクシー乗って家族の元へ向かう。




実は今日、慶の誕生日。

それで、お祝いを兼ねてお花見しようってことになった。



「恋、急ごう」


「うん。急いで行かないと」


「「美味しいご馳走無くなっちゃうからね」」



誕生日とお花見なんて、いつもより豪華なご馳走があるのは分かってるんだから。



うんうん。