「星汰、今度のサッカーの試合いつ?」
「5月の3日」
「GWかぁ。でも行くぅ」


朝からある人の周りには大勢のクラスメイト。
よく、朝から元気でいられるなぁーと感心してしまう。


「エサに群れる金魚みたい」


私の前にドシリと構え毒を吐くのは、友達の天城 裕美子。
朝から通常運転だ。



「ゆっちゃんお疲れ様やね。朝からマネ?」
「そー。大会近いからって呼び出されたの。意味わかんない」



ゆっちゃんはサッカー部のマネージャー。
中学時代、クラブチームでサッカーをしていたみたい。だから、サッカーの事は何でも知っている。


「朝から呼び出されてウザイのに、教室入ったらコレだよ!?嫌んなる」


ビシッと指を指したのは、男の子を囲む群れ。私も嫌いだけど、ゆっちゃんはああいうの凄く嫌悪する性格だからなぁ。



「本当に、アレで性格悪かったら面白いのに。性格いいからなぁー鳥羽は」



鳥羽 星汰


クラス一の……いや。学年一の人気者。
ゆっちゃんは部活が一緒だから色々知ってるんだろうけど、私は今年初めて同じクラスになった。
だから、何も言えないけど、一言で言うなら、『八方美人』なのではないかと思う。



「鳥羽くんとは話したくないわ」
「梢もそんなこと思うんだ」
「思うよ。私、ゆっちゃんが思ってるよりバンバン言うよ」
「少し、心当たりはある」


ハハハと声を揃えて笑っていると、本礼のチャイムが鳴り、各自席につき始める。
話したことないけど…多分話しづらそうだな……と鳥羽くんの方を見ながらふと考えた。