「………」



朝から視線を感じるなとは思ってたけど、昼になっても感じるって事は気のせいじゃないのかな。
廊下を歩く度に女子からなんとも言いがたい視線をもらう。



「…」



ふと、クラスの子と目が合ったので駆け寄る。



「梢ちゃん?どうかした?」
「私の顔になにか付いてる?」
「え?付いてないけど」


んー。
じゃあどうしてこんなに見られるのだろうか。



「気のせいじゃないと思うんだけどさ、私朝からすごい視線感じるの」
「あっ」



クラスの子はなにかに気づいたみたい。



「教えてくれない?」
「多分、昨日の男の人じゃない?仲良く歩いてたの見た人がいるって」



……最悪。
その人、絶対なんか勘違いしてるよ。
お兄ちゃんの事彼氏とか思ってそう。多分だけど。



「あ、それね…私のあ──」
「ねぇ、月岡さんって彼氏いるの!?さっきそこで聞いてさっ」



ほらー。
やっぱりそういう風に出回っていた。
しかも鳥羽くんにまで出回ってる。



「昨日、お出かけしたんでしょ?」
「してたね」



クラスの子にありがとうと伝え、何故か鳥羽くんの質問を答える羽目になった。



「同い年?年上?年下?」
「年上かな」



色々とめんどくさくなった私は、否定するのをやめることにした。



「そっか…年上なのか」