ケータイ小説 野いちご

コイスルエバポ

約束

朝ご飯を済ませて、昨日買ったばかりの服を着る。

ふわりと透けるチュールの長めなスカートは、いつもより少しだけ大人っぽい気持ちにさせる。

あぁ、こういう服、着てみたかった!

私の場合、私服を着る土日は自転車で近所に出かけるか、家にいるかが圧倒的に多い。
だから、可愛い服やおしゃれな服を着る機会が出来たこと自体が、嬉しい。



…とは言っても、完全な自己満足というか、博物館の件を口実にして買い物を楽しんだだけなのだけれど。

誕生日プレゼントでミキに貰ったきらきらの容器で、透明のピンクにラメの入った甘い香りのグロスをぬれば、ミキのコーディネートが完成だ。


外は、突き抜けるような青空に太陽がよく照っていて、とても暑い。
私は少し早めに家を出て、ゆっくり博物館へ向かうことにした。


すると、突然後ろから話しかけられる。

「誰かと思ったらお前かよ」

またもや出た。誠也だ。

『悪かったな!』

すると、彼は一呼吸おいてこう言った。

「てか…なんか今日いつもより何て言うか、いいじゃん。」

真顔、棒読みだが、褒めるなんて、彼からは想像のつかない。
というか、突っ込まれないと何だか逆に不安になる。

『ほ…褒めたって何も出ないし!なんなのいきなり。』


「別に。俺忙しいからじゃーな。」

彼はそう言うと、駅の方へと早足で歩いていった。

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