俺は、


住崎 智奈美に、


恋をした。


一目惚れだっだ。


こんな事、漫画とか小説の中でのことだと思っていた。



彼女に惚れたきっかけ?


そんなのはわかんねぇ


なんか、惹かれた。


ただ、それだけだ。


住崎は胸元くらいまでの長さの髪をおろして、清潔そうな制服を規則を破らず、きちんと着ている“普通の女子高生”だ。

だが、周りにいる他の女子達とは、何か違って見えた。

そして、彼女の1番の特徴は、いつもマスクをつけていて、素顔を誰も見たことが無いということだ。



初めて彼女を目にして以来、彼女を視界に捉えれば、最低3秒は彼女を目で追い、見つめてる。


もちろん(?)無意識に、だ。


だが、告白はしなかった。

彼女に振られる事を想像すると、怖くなった。

勇気が出せなかった。



俺は、真面目に何かしたことなんてねぇし、周りから見てもチャラい感じで、しょうもない事ばっかしてるし。

自覚してんだ。

だからこそ、彼女を欲しちゃいけないと思うし、彼女も俺なんて、、、って思ってるだろうし。



ーーーーー


ある日の昼休み、俺は、知らない女に呼び出された。

(またか、、、)

メンドくさいと思いながらも、聞くだけは聞くことにしている。

なぜなら、俺ができない事を彼女はしているからだ。

女1「あのッ、、、!
初めて見かけた時から今崎君の事、好き
でした。
付き合ってくださいッ‼︎」

(ほんと、スゲーな〜〜、、、
なんでそんな勇気があるんだ?)

そんな尊敬心(?)とは裏腹に、

「悪いけど、興味ないから。」

と、いつもどおりにバッサリ切り捨て、そそくさとその場を離れる。

(俺には惚れた奴がいるからな〜
変に期待されるのも困るしな〜)

住崎の事を考えながら歩いて行ると、ふと体育館の方に視線がいった。

すると、1人の女子生徒が体育館裏に入って行くのが見えた。

なんとなく気になった俺は、後を追いかけ、気づかれないように、体育館の影から女子生徒を覗き見た。

「ーーーッ!」

その女子生徒は、俺が好きになって、今さっき考えていた住崎千奈美だった。

(なんで昼休みにこんなとこに来てんだ?)

彼女は持っていた野菜ジュースにストローを差し込み、そして、マスクを外す。

その時、俺は今までに無いくらい目を見開いた。

(なんだよ、あれッ、、、。)

そう、彼女の顔は少し腫れ上がっていて、口の端には絆創膏が貼ってあった。

『彼女を守りたい』

彼女が傷ついているということに対して、その気持ちだけが、心の中に浮かび上がった。

彼女の立場や状況なんて関係なく。


そして、その日の放課後、俺は勇気を振り絞り、住崎 智奈美に告白した。