(痛ッ!
昨日の、、、かな?
殴られすぎて、もう、どれがいつの傷かわか
らないな〜)

授業中、座り直しそうと動いた時にそんな事を思った。

身体のあちこちが痛すぎて、感覚が麻痺したように痛みを感じなくなってきている。

極々たまに、ツキッと痛みが走るけど。


慣れというのは、すごいものだ。

それを恐ろしいとも感じる。





ーーー昼休み

いつもの様に、野菜ジュースを一本買い、いつもの場所、体育館裏に向かう。

すると、

今崎 「よぉ!」

彼がいた。

私は思わず、一歩退いた。

今崎「おいおい、俺、一応彼氏だぜ〜」

「な、なんで、ここにいるの?」

今崎「あぁ?この前の昼休み、住崎がここに
来るのが見えたから、いっつも来てん
のかな〜って思って来てみた。
大当たりだったな。」

そう言う彼は、ニカッと悪戯っ子の様な顔で笑った。

そんな彼を見て、(少〜〜しだけ)可愛いと思いつつ、何も言わずに突っ立ていると、

今崎「とりあえず、ここ、座れよ。
俺も昼飯今からなんだ。
一緒に食おーぜ!」

と、自分の隣を指差しながら言った。

何も言い返せないまま、とりあえず、座ることにする。

今崎「いっただっきまーす」

そう言いながら、自分で持ってきたビニール袋の中に入っていたパンを取り出し、頬張り始める。

私はというと、彼の前でマスクを外せる訳もなく、彼が食べ終わっていなくなるのをただただ、隣でボーッと待っているだけだった。

(この顔を見られる訳にはいかない。
もし見られでもしたら、絶対に気持ち悪がら
れる。
まあ、それで別れたがったら、それでもいい
けどね。
付き合うことに、こだわりなんて無いし。)


「あのさ、」

いつの間にか、パンを2つも食べ終えた彼が、私に話しかけてきた。

ぼんやりしていた私は、我に返った後、返事をする代わりに首を少し傾けて彼を見た。

なんだか、真剣な顔をしている風に見える。


「、、、顔の傷は、どうしたんだ?」


ーーーーーーーえ⁉︎⁉︎⁉︎


「、、、、、、、、え?
なんの、事?」

一瞬、思考が停止した。

今崎「ここに来るのを見たときに見た。
それとおんなじやつ飲もうとして、マ
スク外しただろ?」

(知ってたんだ、、、。)

「、、、、、気持ち悪いとは思わないの?」

少し不安になりながらも聞いてみた。

今崎「思わない。」

彼はハッキリと言った。

即答で。

「、、、どうして?」

今崎「住崎が、辛そうに見えるから。」

(そんな風に見えてるんだ、、、。)

「そう、、、なんだ、、、。」

私は、驚きとか悲しみとか喜びとか、いろんな感情が込み上がってきて、気の抜けたような返事しかできなかった。

今崎「辛いなら、言って欲しい。
あんたからは、俺がどういう人間に見
えているのかは知らないけど、さっき
も言ったとおり、一応彼氏だから。
できる事あるなら、、、
言って欲しい。」

「、、、、、、。」

私は何も言わなかった。


その日は、それ以上の会話をすることはなかった。

私達は彼の教室に戻ろうぜ、の一言で、それぞれの教室に戻った。