登校中、学校の前の坂がキツくて、学校に着いた頃には少し汗をかいてしまう。


歩きながら袖を捲り、ダメだけど暑いから、上から二つ目のボタンを外した。



靴箱に行くと、蒼井さんに会った。


ここは挨拶をした方がいい…かな?


「おはよう。」

「おはよう。」

自然な流れで隣を歩く。



「今日も描くの?」

「んー、どうしようかな。」

ずっと裏庭で花のスケッチという訳にはいかない。


いろんな所に行って、自分が惹かれたものを描きたいし。



「美術部?」

「うん。蒼井さんは?」

「帰宅部。」

まぁ、部活入ってたら裏庭で寝てるわけないよね。



俺等の教室は、四階の一番端から二番目。


普通に歩いてたら二、三分くらいは掛かると思う。



「文化祭の絵描いてるの?」

「うん。中々出来なくて、どうしようか迷ってる所。」

少し沈黙を挟みながら、会話を続ける。


「そっか、頑張って。」

「ありがとう。」


気づけば教室に着いていた。



何時もは辛いと感じる階段を今日は何とも思わなかった。