トイレに行くって言って、教室を出た雄大。
俺はまだ仕舞ってなかった教科書やノートを鞄に仕舞いながら、何となく周りを見渡した。
そしたら、一番窓側の後ろから三番目の席に、こっちに顔を向けて寝ている蒼井さんがいた。
よく寝るなぁ。
殆ど寝ているとこしか見ない。
暫く遠くから見ていると、まるでお互いが磁石であるかの様に、俺は引き寄せられた。
窓から見る空は綺麗だな、とでもいう様に、自然に蒼井さんの机の前に立った。
俺の席とは違って陽が当たっているから、ずっといると暑くなる。
…何してんだ、俺。
席へ戻ろうと踵を返したら、足が机にあたり、ガタっと小さな音を立てる。
起きたかなって思い振り返ると、案の定、起こしてしまった。
「あ、ごめん。起こした。」
「……別にいいよ。」
腕を上げて一度大きく伸びをし、立ち上がる。
まだ眠そうだ。
「…チャイム鳴った?」
一度周りを見渡して、言った。
「鳴ったよ。気付かなかったんだ。」
「うん。子守唄かと思った。」
「俺も。すごい眠かった。」
顔を見るのを躊躇って、空を見ながら話した。
なんか、よくわかんねぇけど、蒼井さんとだと自然と話せる。
雄大とは違うけど、まだ少し緊張するけど、楽しい。
何でだろ。
女と思ってないのかな?
…それはないか。
「今日は描くの?」
朝と同じ事をまた聞いてきた。
「うん。」
考えるより先に、言葉が出ていた。