「それじゃ、行こうか美鈴」 颯ちゃんはわたしに手を差し出しながら、玄関のドアを開ける。 「うん」 その手に自分のを重ねながら、わたしは肩越しに後ろを振り返り、玄関に立っているお母さんへと目をやった。 「いつも迎えに来てくれてありがとうね。颯太くん」 「いいえ。好きでしてることですから」 そう言葉を交わすお母さんと颯ちゃんをぼんやりと眺める。 「お母さん、朝から颯ちゃんを部屋にいれないでっていつも言ってるじゃん」