「んあっ?何あれ」


年甲斐もなくロリポップを咥えた男が、双眼鏡で何かを捉えた。

ビルの屋上にいるせいで、直接風が髪や着崩したスーツに当たり、邪魔をする。

男は双眼鏡を外すと、忌々しそうに口の中のロリポップをガリッと噛み砕いた。


「何、見つけたカー??我(ウォー)にも見セロ?」


中国訛りの口調の青年が、アルコールの匂いを漂わせながら男に近づく。

昼間からアル中の泥酔状態のようだ。


「いや、唐沢んとこの坊っちゃん殺ろうとしたらさ、なんか変な奴いるんだわ」

「変ナ奴ー?」

「そー。そいつに銃弾真っ二つに切られちったァ。こりゃ一筋縄じゃ行かねーぞい?」


そう言いつつ、男は余裕そうな笑顔を見える。


「ジル、殺せるナイ?」

「うん、簡単には殺せないな。だから」


青年の口にロリポップを咥えさせて静かにさせると、スマホで電話をかけた。


「もしもーし?準備出来てる?」