昨日。時の誕生日。

時にもバケモノがいることが分かった。

「と言っても俺のバケモノはいないけどね」
「どういう事だ?」
「バケモノは自分を殺せない。俺も自分を殺せない。だから相手を殺したらどうなるのか試したんだ」

その言葉の意味を真剣に考えただが答えは出せず頭上にはてなマークが浮いていた

「つまりね、俺は俺の手で俺のバケモノを殺したんだ。生きようって言ったのはリラがまだ自分のバケモノを殺せてないからだ。だから俺はリラがバケモノを殺せるように手伝うよ。」

「!!」


つまり…私は生きれる?


あの日。
黒き雪が降った日。
希望というものを忘れた日。
その日以来初めての希望で…私は私は

200年前以来

初の涙を流した

たくさんたくさん。

溜まっていた
悲しみを
苦しみを
絶望を

全部吐き出して


泣いた。

時はそんな私をそっと抱き寄せて

ずっとそばに居て笑ってくれた。

ありがとう。ごめん。今は泣かせて。
「うぁぁぁぁ…うっ…ひっ…ふぅ………」

声にならない声が泣き声になって…

「大丈夫。俺がどんな時だってそばに居るから。俺の前では泣いていいよ。」

そう言いながら私を抱き寄せ、背中をさすってくれた。

多分200年前死んだ弟にやられても全然感じなかったものが湧き上がってくる。

とても心地よかった。

もしかしたら…これは…


これは愛情なのかもな。

『好き』ってなんだろうか…

ただこれだけは分かる。
私にとって時は掛け替えのない人だ。

だから抱き寄せた背中をギュッとした。

「ありがとう…」