ガヤガヤしてしまい決まらなかったが、ようやく家の名前の話になる。

「海岸かぁ…」
碧空が「海という漢字を入れたい」という発言をしたことにより海か海岸。という言葉が入りそうだ。

そのあとがどうするかと悩んでいると
瑞華がボソっといった
「この家で幸せな終わりを過ごしたいな…」

どうやら聞こえてたのは私だけのようだったが、私は幸せな終わりとはなんだろうと真剣に考えてしまった。

私はアイツをバケモノを殺しに行かなくてはならない。絶対に。

だからいつかは時とも瑞華とも八房とも
みんなと離れなければいけない。

まず私はここにいるべきではないのだ。

『〜Happy End〜』絵本のラストの一文だ

この世界にHappy Endはあるのだろうか…

幸せな終わりは…Happy Endはどこに?

アイツを殺せば…すべて

終わるのか?

「Happy Endか…」
小声で言ったはずの声はシーンとした雰囲気の中では大きい声だったようだ。

「「「「「「それだ!」」」」」」

こいつらは仲がいい。こんなに綺麗にハモるんだから。

「え?でもこんなんでいいのか?」
少し焦りながら私が言うと
「それだよ!!!海岸のHappy End」
と時は興奮したかのように声を高くしてそう言った。

そうと決まるとこのメンバーは変わらない。
まずは家に掛ける看板作りだ。

「うわぁ!すごい!」
碧海が言うにはすごいらしいが何がすごいのかは私にはわからない。
そこらへんにあった浅く広い木をササッと削ってそこに『海岸のHappy End』という字を彫ったのだ。
「すごい事か?」
「すごいよぉ!だって私掘ったりできないもん!」
「そういうものか?」
「だって危なそだもん」

その一言に貯めていた笑いが一気に溢れ出てビックリするほどの大きい笑いになった。
みんなはそんなに笑うことか?とポカーンとしているそれがまた面白くて笑いが止まらなくなってしまう。

看板は無事完成し、家の前に堂々と飾られた。その日は魚介類を中心とした食べ物が出ていかにも海岸という感じだった。

そしてその日の夜。部屋に入り時を待っていると…

ふと弟の顔がよぎった

ごめん…見捨てたこと。

生きていること。ごめん…

本当に…

「リラってさ…」
ドアの開く音が全くしなかったので突然現れてた時に驚きはっ…となった

「最近よく笑うようになったよね。よく泣くようにもなった。俺の前以外じゃ泣いちゃダメだからね?」
そう言いながら私を見てニコッとする。

前に弟に言われたことがある

『姉ちゃんはよく笑うね!でもね よく笑う人はよく泣いた人なんだよ。でもさぁ僕姉ちゃんの泣いたとこ見たことないからさぁ。これから今までの分も泣いてね!』

「本当によく似ているな…」
潤んだ声で言って潤んだ瞳から暖かいものがこぼれ落ちる
私にはこんなに涙があったのか…

もう無くなってしまったと思っていた

「私の前から…消えないでくれ」

初めて言った。時に少しだけ弱音を吐いて。

「消えるわけないでしょ?」
ベットの上に座っている私を立ったまま
私の顔が腹部にあたる感じて抱きしめた。

「消えたら私が泣けなくなるからな。」
私は左腕の無い私にはできないことだか、
右腕だけを背中にまわし、言葉に甘え泣いた。


独占欲。

別名 愛情。

だと私は思う。