『昨夜、東京都多摩市の森林で、男性と見られる遺体が発見された。
死後2週間が経過していると見られ、白骨化しかけていた。
現在警察は身元を確認中で……』

「あらやだ、また殺人事件かしら?」


ママがテレビを見て、不安そうに呟いた。



「世の中物騒になったよね。」


「ほんとに。
菜々香も外出には気をつけてね。」



「はーい。」





母はわたしが3歳の時になくなった。


今年で母がなくなって16年目に差し掛かろうとする。




今いるママは家事バイトで探したクローンだ。



ママの名前はマドカ。


主人(クローンの本体)は滋賀県らしい。

ちなみにこの家は京都にある。




母がなくなってすぐに住み込みで働いてもらっているらしい。


しかし、母の記憶がない私にとっては本物の母親同然だ。




父は転勤族でちょくちょく単身赴任しているから私の子守は大してできない。


それでも数ヶ月に一度は帰ってくるし、そんなに寂しくもないし、父のことは好き。





rurururururururu~



「菜々香のケータイじゃない?」

「わっほんとだ!


もしもし?」



電話は友達の詩穂からだった。





「ねぇ今暇?
このあと3時から買い物付き合って欲しいんだけど!」



相変わらず急ね。


それでも楽しいから好き。




「いいよ!
いつもの駅の改札で待ち合わせでいい?」




「いいよー!
なら3時ねー」



「ママ!3時から詩穂と遊んでくる!
晩ごはんまでには帰ってくるね!」




「はいはーい。
遅くならないでね。」




「わかった。」





3時まであまり時間がなかった。



私は急いで支度をして家を出た。