あれから数日。
特に変わった様子はない。
花音は無事再々テストを終え、田中先生からOKをもらったみたいだし、隼とも別に変わらず。
「隼っ」
いつものように放課後、隼のクラスへ迎えにいく。
「行こう」
「うん」
「隼に優衣ちゃんばいばーい」
「ばいばーい」
ちゃんと駿くんにも手を振って。
「ねぇ隼、あのゲームどこまで行った?」
「丁度今半分ってとこ」
隼の言葉に口角を上げる。
「なんとなんと、ストーリー終わらせちゃいました!!」
「は!?」
自慢げにいう私に驚く隼。
「早すぎ、どんだけやりこんだの」
「えへへっ、楽しくてつい」
時間も沢山あるしね。
「はー、だからか」
大きくため息をつく隼。
「?」
「隈、酷くなってる」
隼はそう言って私の頭をコツンと叩いた。
「え、ほんとに!?」
「ほんとほんと」
まぁ、そりゃあんだけやったら隈も酷くなるよね。
なんて思い返す。
「ちゃんと寝ろよ」
「わかってるって!」
「じゃあ、ほんとは今日ゲーム誘おうと思ってたけどナシかなぁ」
「えぇ!」
ゲーム誘おうと思ってたの?
やりたい……
「やりたい……」
「だけど優衣、また寝れなくなる」
……それは困るなぁ。
「……わかった。我慢する」
「うん、それでよろしい」
しぶしぶ、といった私に隼は笑って私の頭を撫でた。
「じゃあ、今日はちゃんと寝るから明日やりに行ってもいい??」
どうしても諦めきれない私はそう言って隼を見る。
1回終わらせてるゲームだけど、やっぱり何回もやりたい。
「明日の隈の様子~」
意地悪そうに言う隼。
「なにそれ~」
1日で隈なんてなくならないよ。
がっくしと肩を落とすと隼は笑った。
「嘘嘘。明日ね。」
「ほんと!?」
「ほんと。だから今日ちゃんと寝て」
「まかせて!!」
そう私が言うと嬉しそうに笑う隼。
ほんと、隼と好きなゲームが同じでよかった。
「じゃあさ、隼」
「?」
下駄箱に向かうハズの私たちの足。
私はそれに反するために隼の手を取り廊下を戻った。
「優衣?」
「ハルちゃんに、会いたい?」
戸惑う隼にそう言うと、隼は1回顔を伏せて私の顔を見ないようにして言った。
「そうだね、会おうかな」
私達は保健室へ向かって歩いた。