あれから数日。


時間が過ぎるのははやいもので。


衣替えも終わり学校は一気に"夏"そのものだ。

そしてもうすぐ夏休み。
夏休み中の補習をかけたテスト期間がやってくる。

「あーつーいー」

放課後、自分の席で項垂れる花音に喝を入れる。


「あと2ページ!!
ほら、やるよ!!そして帰りアイスでも食べよう!!」


「うーー、はぁーーい」


花音は毎回長いおやすみ前のテストはそりゃもうすごい点数をとってくるもので。

花音のお母さんから直々に勉強を教えてやってくれと頼まれているのだ。


花音がシャーペンをもってテキストと向き合う姿を見て一息つく。


お母さんからは離婚の話も何も無い。

隼とも相変わらずだし、駿くんとも。

本当に、普通で、平和で少し怖い。


いつこれが壊れるのかと思うと。




























「んー、生き返る」


あれから小1時間、花音がやっと勉強を終わらせコンビニによりアイスを食べながら帰路につく。

「いやでも、悪いね。
隼くんと帰る約束なのに」

「別に約束ってわけじゃ…。それに花音の勉強心配だし。
テスト期間中は特別」

「ありがたや、ありがたや」


溶けて垂れそうなアイスにかぶりつきながら花音が言う。


……本当に思っているのか。


「明日はもっとしごくから」


私は少し意地悪にそう言って、見えた家に駆け寄る。


「げ、」

「じゃあね!復習忘れないこと!」


花音に手を振り家の中に入ると、いつものように静かな家に少しばかりの安心感を覚える。



まったく、バイト休んでまでやってるんだから今回はちゃんと結果ださないとやばいよ花音。

私たち一応受験生だし。


私は荷物を置くとすぐ浴室に行き、暑さで火照った体から汗を洗い流すようにシャワーを浴びた。