あれは4年前のことだった。

「ダル、早くして!時間が無いのよ!!」

13歳になる息子は昔から悠長な子で、いつも時間に追われた生活をしている私を苛立たせていた。

髪はツヤツヤのブロンドで体型はぽっちゃり、瞳の色はグリーンのだんごっ鼻が息子の外見的特徴だ。

つくづく私に似なかったなぁ、と思う。

ダルと名付けたのがそもそもの間違いだったのか。

dullなんてマイナスイメージしか無い名前を、どうして私は選んだのだろう。

昔のことが思い出せないなんて私も年をとったわね‥


dullの意味は、「鈍い」。

その名の通り、彼は忠実に育ったと思う。