「博士。…シェリル博士。」

気を失っていたようだ。

「…シャープは!?」

「…データ管理室に。」

レイモンドを押し退けて、シェリル博士は医務室を飛び出した。


様々な装置がある、広い真っ白な部屋にシャープは居た。

廃棄の前に、シャープのデータを消去するためだ。

若い研究員、シャーロットがシャープに座るよう促す。


『俺は…災害用アンドロイド失格か?』

シャープが純粋な瞳をしてシャーロットに問う。

「…そんな顔しないで、シャープ。
確かに、人を救うべき貴方が人を殺めようとしたのは悪いことよ。
だけど、貴方には心があるもの。それを無かったことにしようとした博士も悪いと思うわ。」

「偉くなったものね、シャーロット。」

ハッとして、慌てて口を覆い、シャーロットは振り向いた。

「シェリル博士…!」

「いいえ、いいのよ。貴女の言う通りだわ。」

謝ろうとするシャーロットに軽く右手を上げ、博士は言った。