初めてのプロポーズは指輪もなければ、ロマンチックな音楽もない。

ムードもへったくれもない、まるで嫌がらせのような一瞬の出来事だった。

例えてみるならば、隕石が空から降って来て頭に直撃するような偶然が重なった奇跡みたいなもの。

(悪夢だ……)

何でよりにもよって古賀くんなのだろう。

プロポーズされるならもう少しましな人が良かったのに、よりにもよって中学生時代のいじめっ子。

どうやら、恋愛運は急降下、地上スレスレの模様である。

“考える時間をやる”

……親切なことに古賀くんは私に一時の猶予をくれた。

お見合いの席がお開きになり、一夜明けても二日酔いのような胸のもやもやは晴れることはなく、ため息ばかりが増えていく。

(ああ、もう……)

こんな思いをするくらいならあの場で即座に断っておけば、後腐れなく終わりにできたというのに。

時間をおいた挙句に断りの返事をしたら、どんな罵詈雑言を浴びせられることになるやら……。